関税についてのポイント

国内の引越しと海外引越し(海外移住)で大きく異なるのが「関税」について。 関税は輸入貨物に対して課される税金であることから、海外引越し特有の注意点と言えるでしょう。国内よりも何かと物入りな海外へのお引越し、正しい知識を持っていれば費用を抑えることも可能です。

先進諸国であれば基本的には無税

海外引越しの荷物は、「本人から本人へ送る使用中の家財道具である」という観点から、世界的には無税扱いとされるのが一般的です。ただし、国ごとに若干の違いがあります。

例えば中国では、使用中の家財道具であっても家電製品で20~30%、家具で10~20%の関税がかかります。また、 ベトナム、インドネシアなどの発展途上国の場合には、「自国産業を守る」という名目で中古品でも引越し荷物への課税が発生するため、注意が必要です。 依頼する海外引越し会社にくわしく問い合わせておくとよいでしょう。

「ノービザ状態」で送った荷物は課税対象

引越し荷物を非課税対象にするには、基本的に長期滞在ビザを取得していることが必要です。例えば、アメリカ人と国際結婚するために長期滞在ビザなしで入国し、 入籍してアメリカのSpouseビザ(婚姻ビザ)を取得するようなケースでは、結婚することを記載したレターを準備しておいて申告用紙に記入すれば非課税となります。

また、インドネシアやシンガポールなどでは、WorkPermit(労働許可証)なども合わせて必要になります。 申告用紙の書き方をはじめとするビザ取得に必要な手続きについては、経験豊富な海外引越し会社に聞けばくわしく教えてもらえます。

EU諸国では、ビザがなくても輸入通関可能

欧州(EU)諸国では、現地でビザを提出しなくても輸入通関ができます。 イギリス、フランス、ドイツをはじめとするEU諸国に荷物を送る場合には、ビザの有無が関税の有無に影響することは基本的にありません。 とはいえ、スムーズに輸入通関を進めたいのならばビザの提出をおすすめします(あくまで、「持っていれば」でかまいません)。

輸入通関とは

外国から輸入された貨物(外国貨物)を引取る際に、管轄の税関で検査を受け、関税・内国の消費税・地方消費税などを納付すること。 この手続きを受けることで、ピアノでも、車でも、家具でも、海外移住先で引取ることが可能な「内国貨物」になります。

「新品アイテム」にも関税がかかる

海外引越しにおいては、「新品アイテムには税金がかかる」というのが世界的な通例です。 例えばEU諸国では購入後6ヶ月以内のもの、オーストラリアやニュージーランドでは12ヶ月以内のものは「新品」と見なされ、課税対象となります。 ただし、これらは日本帰国時に正しく別送品申告を行うことで、成人1人あたり20万円相当の新品アイテムまで無税で送り返すことが可能です。

新品課税に厳しい国と厳しくない国

新品アイテムへの課税が厳しいのは、中国、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス。 逆にアメリカやカナダでは新品課税制度こそあるものの、実際に税金を取られたというケースはまれなようです。

新品課税の実情を知っている海外引越し会社の中には、新品と見なされないように、購入時の箱をわざと外して梱包してくれるところもあります。 関税のことを考えるなら、事前に相談してみるといいでしょう。ただし、変圧トランスなどは銘板に製造年月が記載されている場合があり、 梱包し直しても新品と見破られてしまうおそれがあるため、電化製品での再梱包はせずに正しく申告しておくのが無難です。

申告に虚偽があったらペナルティが発生?

新品アイテムがある場合には、それを申告する必要があります。オーストラリアなどでは、申告に虚偽があることが発覚した場合、 ペナルティが課せられるうえに、最初から通関の順番を並び直さなければならないため、配達が1週間以上遅れてしまうこともありえます。 オーストラリアへ引越しする時は、できるだけ正しく申告しておきましょう。

各国の制度の例

中国

日本食関係は基本的には無税ですが、あまり量が多いと個人目的でなく、販売目的とみなされ、課税されます。日本米であれば、10kg程度までが個人の荷物の範囲と見なされますが、実際には税関士の判断によりその範囲が変わってくる場合があります。

電化製品等には、例え中古品であっても 一律35%の課税がなされます。パソコンであれば約55,000円の関税がかかります。ノートタイプを自分でハンドキャリーする場合には無税で持っていけるケースが多いですから、パソコンはノートタイプをご自分で持っていかれることをお薦めします。

タイ

期間1年以上のワークパーミットを所持の上入国すれば、基本的には税金はかかりませんが、6ヶ月或いは3ヶ月1年以下の場合には下記基準に則り課税されます。

  • 電化製品 一律30%
  • コンピューター 一律30%
  • 日本米 一律30%
  • インスタント食品 一律30%
  • 日本の調味料 一律30%

但し、電化製品またはコンピューター1機種に限って無税での輸入が認められています。

マレーシア

家電品は Import Licence があれば、無税です。パソコン輸入は通常輸入でも無税であり、ImportLicenceは必要ありません。日本食関係も基本的には無税ですが、個人目的と見なされる範囲内の量であることが前提となります。

シンガポール

就労ビザを取得済み、または取得中であることを証明できる書類があれば、家電品、日本食ともに、無税で輸入可能です。但し、米は規制品であり輸入にはライセンスが必要です。つまり一般には輸入不可です。しかし10kg程度ぐらいであれば、引越し荷物でFoodsとして申告すれば、問題なく輸入できるケースもあります。

インドネシア

家電品、パソコンでも基本的には無税ですが、同様の電化製品を複数送る場合には課税対象です。 また、家電品でも、パソコンでも、食料品でも、新品であれば課税対象です。インスタント食品、レトルト食品は未開封ですから、新品と見なされ課税対象となります。

インド

家電品、パソコンでも基本的には無税ですが、同様の電化製品を複数送る場合には課税対象です。 また、家電品でも、パソコンでも、食料品でも、新品であれば課税対象です。インスタント食品、レトルト食品は未開封ですから、新品と見なされ課税対象となります。

イギリス

家電品、パソコンでも基本的には無税ですが、同様の電化製品を複数送る場合には課税対象です。 また、家電品でも、パソコンでも、食料品でも、新品であれば課税対象です。インスタント食品、レトルト食品は未開封ですから、新品と見なされ課税対象となります。

ドイツ

家電製品、日本食ともに無税で輸入できます。米も無税で輸入できますが個人使用範囲です。例えば米であれば10kg程度を限度とお考え下さい。

ロシア

引越し荷物であっても全ての物品に対して課税されます。課税は荷物の重量(ポンド)に対する一律課税です。 課税率は1ポンド当たり約US$3.10です。つまり、300kg送った場合には300kg×2.2(ポンド換算)x$3.10=US$2046 となります。

ロシアでは高関税がかかりますのでご注意ください。因みに1ポンド=0.455キロです。

通関で必要な書類一覧(主要国)

アメリカ3299 FORM
委任状(Power of Attorney)
パスポートコピー
梱包明細書
カナダパスポートコピー
B4フォーム
梱包明細書
イギリスC-3 FORM
梱包明細書
フランスパスポート
Certificat De Non-Cession
赴任証明書(仏語または英語)
学生の場合フランスの学校の招聘状または在学証明書のコピー
梱包明細書
オーストラリア税関宛別送品申告書
B534
梱包明細書
中国パスポート
別送品申告書
Zビザ
在留証
梱包明細書
ドイツ雇用証明書(雇用されている場合)
パスポートコピー
居住証明書
梱包明細書
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